長岡から信越線の直江津行きに乗車した。列車は柏崎を過ぎて日本海が見えてきたが、天気はどうやら良くないらしい。雨も降ってきた。
青い空、青い海を期待してやってきた。
しかし、空模様はこのとおりの曇天であった。
雨風が想像以上に激しいので、下車してそそくさと駅舎に避難した。やはり、今日は誰も駅にいないらしい。
しばらく休憩して、折角来たのだからと折り畳み傘を片手に下り線のホームへやって来た。晴れていたらきっともっと良い眺めだっただろう。だが、雨風が強い日も、これはこれで迫力があっていいかもしれない。
ホームをうろうろしていると、あっという間にずぶ濡れになりそうなので、やむを得ず駅舎に戻っておとなしくしていた。
数分後に、サーファーらしき兄ちゃん2人が駅舎に入ってきた。こんな天気の中でも海に入ってきたんだろうから、よっぽど好きなんだろう。
駅舎の中で着替えはじめるみたいなので、仕方なくまた外に出た。
サーファー兄ちゃんたちが帰ったあと、しばらくすると次は駅に中年男性の2人組がやってきて、傘を片手に駅の様子を興味深そうに観察してまわっている。
男性の一人は、もう一人男性の付き添いでやってきたようで、僕に話をかけてくる。
「あなたも鉄ちゃんですか」
「それは、もちろん。こんな天気の中こんなところに来るんですから。」
「昨日も付き添いで、四国の駅で海が近いところに行きましたよ。」
「もしかして、下灘ですか。」
「そうそう。さすがだねえ。」
と話をしている間も、もう一人の鉄道好きのおじさんは、こちらに目もくれずに一心不乱で駅の写真を撮り続けていた。
はたから見ると、こんな天気が悪い日によくやるよ、と言った感じだが、つい数十分前まで自分もやっていたことだから、どっちもどっちである。
ひとしきり駅をまわったあと、おじさん2人組は車で去っていった。
どこの場所にも物好きはいるものだと思いつつ、次の直江津行きの列車に乗車した。
(続く)