日本三大霊場のひとつとして有名な恐山は、本州の北の果てである青森県の下北半島に位置しています。
恐山は、古くからの信仰の場であるとともに、下北半島の有名な観光地にもなっており、ぜひ一度は訪れてみたいスポットです。
恐山への公共交通機関でのアクセス
まずは、恐山までの公共交通機関を使ったアクセスについて紹介します。公共交通機関を利用する場合は、JR大湊線と下北交通バスを利用して、鉄道とバスを乗り継いでアクセスする方法が一般的です。
恐山へはJR大湊線の下北駅で下車
鉄道を利用する場合、八戸駅もしくは青森駅から、青い森鉄道で野辺地駅まで乗車して、野辺地駅からJR大湊線に乗り換えます。恐山へ行くには、JR大湊線の下北駅で下車をしてバスへ乗り換えます。
八戸駅と青森駅からは、JR大湊線に直通する列車である快速しもきたが走っていますので、こちらを利用すると乗り換えが不要で便利です。
また、臨時列車で観光向けのリゾートあすなろ下北も運行しているので、日程が合えばこちらを狙ってみるのもおすすめです。(※臨時列車は毎日運行しているわけではないので運転日にご注意ください。)
下北駅と恐山の間で路線バスが運行
下北駅からは、駅前のロータリーから下北交通バスに乗車して、恐山へとアクセスすることができます。ただし、5月1日から10月31日までの期間のみの運行となっています。
下北駅と恐山のバスの発着時刻は次の通りです。ただし、恐山大祭の期間は、これによらず臨時の増便ダイヤとなります。下北駅~恐山間のバスの運賃は、片道800円です。(時刻表と運賃は2018.9.20現在)
下北駅→恐山
①下北駅9:10発→恐山9:53着
②下北駅11:15発→恐山11:58着
③下北駅14:00発→恐山14:43着
④下北駅16:55発→恐山17:30着 ※5/1~9/30のみ
(臨)下北駅12:45発→恐山13:28着※リゾートあすなろ下北の運転日のみ
恐山→下北駅
①恐山10:05発→下北駅10:45着
②恐山13:00発→下北駅13:40着
③恐山15:50発→下北駅16:30着
④恐山17:30発→下北駅18:05着 ※5/1~9/30のみ
(臨)恐山15:00発→下北駅15:40着 ※リゾートあすなろ下北の運転日のみ
恐山観光の見どころ
ここからは、恐山に到着してからの実際の見どころを紹介します。恐山に入るには、受付で入山料として500円を支払います。
また、恐山といえばイタコの口寄せが有名ですが、イタコの方は常時いらっしゃるわけではないです。夏と秋の大祭のときには基本的にいらっしゃるようです。
入山すると、石畳の道を真っすぐに進んで、山門をくぐって、御本尊が安置されている地蔵殿をお参りします。ここまでは、一般的な寺院と比べても特に変わったところがあるわけではありません。
なお、恐山ではいたるところで、風車を見かけることになります。これは水子供養のためにお供えされているものです。入山受付の横にある売店でも風車を購入することができます。
恐山といえば地獄めぐり
地蔵殿をお参りした後は、脇の道へと入っていきますが、この先からが見どころです。荒涼とした岩場に、硫黄のガスが噴き出している風景は、地獄を模したとも言われています。恐山を代表する景色がここに広がっています。
道中ではあちらこちらに仏像が建てられており、地獄めぐりをしながらお参りをして先へと進みます。しっかりお祈りすれば、いつか地獄からも抜け出せるのではないでしょうか。
こちらの八角円堂という建物までくると、地獄めぐりもそろそろ終盤です。恐山は日本三大霊場のひとつと数えられていますので、きっと霊験もあらたかであろうと思われます。
そして極楽へ
地獄めぐりを終えると、これまでとは打って変わった景色に出迎えられます。きれいな白浜の向こうには広々とした水面が澄みわたっています。この宇曽利湖は、地獄とは対比的に極楽になぞらえられています。
実際に腰かけて休憩できる場所もありますので、歩き疲れたら休憩することもできます。
周りを山々に囲まれた湖が一面に広がりきれいな色をしています。これまで延々と歩いてきた荒れ果てた大地が地獄というのであれば、こちらは確かに極楽浄土と例えられるべきでしょう。
宇曽利湖からの帰りは、最初に入場した総門の付近へと道が続いています。これで、恐山をぐるっと一周することができます。
そして、最後に恐山の真ん中付近にある小高い丘へと向かいます。散々歩き回った末に登り坂を上るので結構しんどいです。
丘の上には延命地蔵尊がいらっしゃいます。無数の石が積まれた上に御座します姿は、恐山を見渡しているようにも見えます。
境内には温泉も!混浴もあり
続いては、もしかしたら、もう一つの極楽かもしれない温泉です。実は恐山には温泉があるのです。
タオルは持参するか、売店で購入する必要があります。境内にあるお守り等を売っている所でも購入できます。
山門から地蔵殿までの道の脇に3つの建物がありますが、これらが温泉なのです。建物ごとに男湯と女湯が分かれていて、入口にいずれか札が掲げられています。
さらに、宿坊の裏手の離れた場所には、もうひとつ混浴もあるのです。意外とこちらの方が穴場かもしれません。
穴場というのはそういう意味ではなく、場所が離れていて分かりづらいというのと、堂々と「混浴」と掲げられているので、ここまで来て温泉に入る人は少ないのではないかと予想されるのです。実際に筆者が行ったときには誰もいませんでした。
位置関係を簡単に示すと上の図のようになります。混浴はアクセスが分かりづらいですが、寺務所の脇に回廊が途切れて通れるところがあるので、そこをしばらく直進してから、宿坊をまわりこむようにして進むとたどり着きます。
温泉といっても小屋のような簡素な建物であり、 特に洗い場もなくこじんまりとした浴槽があるだけです。
いざ入るには少し躊躇するかもしれませんが、硫黄分がたっぷりと思われるお湯はすばらしく、試してみる価値はあると思います。
恐山での食事は?
恐山の食事処は、総門を出た隣に「蓮華庵」があります。ここ以外には周りに食事処はありませんので、恐山で食事をするならば、ここしかないと思われます。
メニューは、うどん、そば、カレー、ラーメンといった一般的な食堂のような感じです。
なお、総門の近くの出店でアイスが売られていることがあります。その名も合掌霊場アイスです。シャーベットのような食感とさっぱりした味わいが特徴のアイスです。
独特の世界観、恐山へぜひ一度
今回は、下北半島の恐山の観光について紹介いたしました。地獄から極楽へと至る過程をあらわした世界観は、恐山でしか見られない景色であったように思います。
恐山の見どころは広範囲に点在しており、じっくりと見てまわると結構な時間がかかります。パンフレットでは最短順路で所要時間は約40分という案内もありますが、実際のところは、これ以上に余裕をみて少なくとも1時間程度は予定しておいたほうがいいと思います。筆者の場合は、さらに温泉と食事も含めてゆっくりしましたので約3時間ほどの滞在となりました。
今度の機会には、ぜひ恐山へお参りと観光に行ってみてはいかかでしょうか。