今回は地元のあたりのことについて触れてみたいと思います。
プロフィールのとおり、私は岡山県倉敷市の出身です。生活は基本的には県南部の倉敷市と岡山市で完結していましたが、幼い頃に遠出して色々なところに家族で出かけた記憶があります。
県内では、北のほうは蒜山や湯郷温泉などへ行ったこともありますし、隣の鳥取県の鳥取砂丘や、広島県の宮島などにも行ったことも覚えています。
しかし、基本的に自動車が中心の移動手段なので、県内と隣県くらいの距離であれば列車に乗って遠出したということはほぼありません。自分の地元の列車がどうなっているのかということは、生活圏を離れた範囲になると実はほとんど知らない世界なのです。
そんなわけで、今回は実際はよく知らなかった地元のまわりの路線に乗ってみたときのことです。
芸備線(岡山県・広島県)
まずは、岡山県と広島県の北部をつないでいる芸備線に乗車します。芸備線は、広島県側の広島駅から三次駅までの間はまだ需要があるかもしれませんが、岡山県側は岡山県民でも使うことはほとんどありません。
岡山県の新見駅から広島方面へ向かう列車は、非常に少ないです。土休日のダイヤとなると午前中の便は始発の5時18分発の備後落合行きの1本だけです。これを逃すと、次は午後1時1分まで列車がありません。
県内に実家があるというのに、新見で一泊して始発の列車に乗車しました。乗客のほとんどが運転士に18きっぷに記入をしてもらっており、いかにも鉄道ファンばかりといった感じでした。いくら地元の岡山県とはいえ、さすがにこの列車ともなると観光客とあまり変わらない気分です。まったく聞いたことがない駅名を通っていきます。車窓の景色も、いったいどこだかわからない秘境感があふれています。
備後落合駅に到着しました。運行系統はここで別れており、オレンジ色のラインの列車が新見~備後落合間を折り返し、紫色のラインの列車が備後落合~三次間を折り返しているようです。また、備後落合駅では木次線に乗り換えて、島根県の宍道方面へ乗り換えることもできます。さながら秘境ローカル線のターミナルのようです。
福塩線(広島県)
先ほどの備後落合駅から三次行きの列車に乗車して、途中の塩町駅で下車します。ここで福塩線へと乗り換えをします。車両は先ほどの芸備線のものと同種です。
福塩線の府中~塩町も列車の本数がかなり少なくて、なかなか乗車が難しい区間です。
府中から福山方面は、電化区間となっています。ここからは列車の本数も多くなります。といっても1時間に1本か2本なのですが、ここまで乗ってきたところと比べれば、感覚が軽く麻痺してしまいます。
よく見慣れた瀬戸内の黄色の列車に乗車して、福山へと向かいます。やっと知っているいつもの地元の圏内へと戻るような、不思議な気分です。
境線(鳥取県)
続いては、鳥取県の境線です。米子駅と境港駅を結んでいる路線です。鳥取県の市は、鳥取市、倉吉市、米子市、境港市の4つのみで、そのうちの2つを結んでいる路線ということになりますが、地元にいるときには境線の存在自体を知りませんでした。
境線の見どころといえば、なんといってもゲゲゲの鬼太郎です。列車のラッピングや内装、駅のホームまで、ゲゲゲ一色となっております。車内のアナウンスも、鬼太郎やねこ娘などが登場するというこだわりようです。
終点の境港駅までは、起点の米子駅からはわずか17.9kmという短い旅です。その短い間に16駅もの駅がひしめいており、それぞれの駅には妖怪の名前にちなんだ愛称がつけられています。
境線がこれほどまでにゲゲゲの鬼太郎を押し出しているのは、境港市が水木しげる先生の出身地であることにちなんでいます。境港駅の近くには「水木しげるロード」や「水木しげる記念館」があり有名な観光スポットになっています。境港駅の前から数々の妖怪たちがお出迎えしてくれます。
因美線(鳥取県・岡山県)
最後は鳥取県と岡山県をつないでいる因美線です。因美線の鳥取~智頭間は、特急列車のスーパーはくとやスーパーいなばが通る区間であり、普通列車も智頭急行線の車両が使用されることがあるようです。
智頭駅から先の津山方面は完全に普通列車のみです。列車の本数もぐっと減って、3時間くらい列車がない時間帯もあります。
特急列車は智頭駅からは智頭急行線へと入ります。初めて鳥取からスーパーいなばに乗って岡山へ帰ったときは、津山を経由するものだと勝手に思っていましたが、そうではありませんでした。
鳥取県と岡山県の県境の山間部を気動車で進んでいきます。路盤が悪いため、あちらこちらで徐行運転をしながら進みます。森の中へ迷い込んだかのような感じです。こんなところに列車が走っているということに若干驚いてしまいます。
秘境みたいなところも多い
実はよく知らなかった地元のまわりの路線に乗ってみましたが、あらためて、ずいぶんと不便だと感じてしまいました。
いつもは列車の本数が少ない路線であれば、どうやって乗り継ごうか、どんな場所なのだろうかと楽しくなってしまうところですが、このあたりの路線はまったく何も知らない土地だけあって、列車の少なさに少々愕然とした気持ちがありました。
とはいえ、全然知らない秘境のような所もあり、ちょっと降りてみたいという気持ちにもさせられてしまうのでした。