熊本駅から三角行きの列車に乗車です。
前回までは長崎を中心に旅をしてまいりましたが、今回は場所が変わって熊本からスタートです。駅舎の工事で新しくなった熊本駅から、三角行きの気動車に乗車です(「三角」と書いて「みすみ」と読みます。決して「さんかく」ではありません。)
今回乗車することになったのは、キハ31形です。国鉄の分割民営化前に投入された形式で、廃車発生品やバス部品の流用でコストダウンをはかったらしいです。
宇土駅から鹿児島本線と離れて三角線へと入ります。
熊本駅を出発した列車は、宇土駅までの区間は鹿児島本線を走っていきます。そして、宇土駅から三角線へと入ります。三角線はわずか25.6kmほどの短い路線です。
三角線に入ってからは、右側の車窓は国道57号線の道路が続き、左側の車窓は田畑が広がっています。
途中の住吉駅は列車交換ができる駅となっています。ここで数分間停車して、反対列車の待ち合わせを行います。
住吉駅を出ると海の路線の始まり。
これまで住宅や田園風景を進んできた列車も、住吉駅を出ると国道に沿うようにして海岸線を進んでいきます。
車窓にも船置き場のようなものが飛び込んできて、海の気配が高まってきました。
やがて国道を挟んで見えてくるのは浅瀬で、干潟ではないかと思われます。このあたりは海苔の養殖がさかんなようです。
網田駅の駅舎は瓦ぶきが特徴的なずいぶんと渋い面構えをしています。それもそのはず、熊本県では最古の駅舎なのだそうです。
駅舎にはレトロ感を売りにしている喫茶店も入っているようなので、こちらに立ち寄ってみるのもいいですね。
網田駅を出発して島原湾が見えきました。そして秘境感のある赤瀬駅へ。
網田駅を出ると、国道から離れて勾配を上って次の赤瀬駅へと向かっていきます。この途中で、進行方向右側の車窓からは島原湾を見渡すことができます。有明海の向こうに見えるのは雲仙普賢岳ではないでしょうか。
次の赤瀬駅は、急に山の奥にやってきたような雰囲気となります。簡素な待合室がぽつんと置かれているだけで、物寂しい感じが漂っています。
さらに、駅からはレンガ造りの古ぼけたトンネルが、鬱蒼とした茂みの中に口を開けているのが見えます。秘境感がありすぎて、逆にちょっと怖いくらいです。列車はこの後、トンネルに吸い込まれていきます。
あっという間で終点に到着です。
赤瀬駅からトンネルを抜けて、山の中をしばらく走ったのちに終点の三角駅へと到着しました。
駅名の由来によれば、御門(みかど)と呼ばれ、のちに「三角」となったとのことです。確かに「三角」は「みかど」とも読めますので、そういうことでしょうか。
駅舎は新しくてきれいで、天草の地をイメージしているからでしょうか、教会のような外観をした建物となっています。
駅の中の待合室も、教会の礼拝堂のようだ言われれば、確かにそのようにも見えてきます。隅っこでくまモンが立ちつくしていますが、実は彼も祈りをささげているのかもしれません。
三角駅の前の港のほうには、巻貝のような建物が建っています。建物の外にも中にもらせん階段が付いているという不思議な構造です。この建物は「海のピラミッド」という名前で、フェリーターミナルとして建てられてものとのことです。
「海のピラミッド」のてっぺんからは、天草の海を眺めることができます。多くの船が行き交う様子を眺めていると、あっちの島には何があるのだろうかなどと考えてしまいます。
次回は肥薩おれんじ鉄道です。
さて次回は、今回の連載で訪れる最後の路線となる肥薩おれんじ鉄道です。八代駅からの出発となります。
(続く)