三江線の旅の最後は、江津から三次まで、途中下車なしで乗り通しました。そのときの車窓の景色をもって、乗り納めの旅の締めくくりとしたいといます。
江津駅を5時53分発の三次行きに乗車します。江津発の始発列車で、混雑対策の3両編成でした。江津付近に宿泊しないと乗車することが難しいからだと思いますが、座席はまだ余裕がありました。
出発したときはまだ暗かった外の景色も次第に明るくなって、江の川の流れが見えてきました。この日は霧が濃いようです。
1時間足らずして鹿賀駅に到着しました。穏やかなローカル線らしく、窓の外は一面の畑が広がっています。
江の川沿いに進み、三江線の主要駅である石見川本へと至ります。
沿線の大半の箇所で江の川を眺めることができる三江線は、「江の川鉄道」の別名も付けられています。
乙原駅の付近では、この地域で特徴的な赤褐色の瓦の民家の集落が見えました。この瓦は凍結に強いという実用的な意味があるようです。
明塚~粕淵間で、江の川が大きく曲がって流れる様子が見られました。車窓をよく観察していると、川の流れがいろいろな表情を見せてくれます。
沢谷駅に停車中、駅の向かいの家のほうを見ると、ガードレールに「ありがとう三江線」と掲げられています。なんだかほっこりした気持ちにします。
長いトンネルを抜けて、潮駅に到着です。ホームから江の川を見渡すことができる景色のすばらしい駅です。
宇都井駅はこの日も多くの人でにぎわっていました。車窓の景色からも、列車がどれほど高い場所に停車しているのかよくわかります。
口羽駅を手前で、列車は橋梁を渡ります。川の深さは浅いのでしょうか、ところどころで白波が立っているように見えます。
式敷駅からは、東の方角へとほぼ一直線に進んでいきます。川の幅は比較的狭くなったように感じます。
今回の列車は長谷駅に停車しました。この駅は通過する列車もあり、降りることが難しいので秘境駅として知られています。
三次駅が近づいてきて、川の幅は再び広くなってきました。三江線の旅も、間もなく終わりを迎えようとしています。
折り返し列車を待つ多くの人に迎えられながら、終点の三次駅に到着しました。
無事に三江線を乗り納めすることができました。3時間半の道のり、ほとんど江の川の流れと一緒に過ごしたようにも思います。
ローカル線がまたひとつ、廃線になってしまうのは惜しいことです。こういう路線にかつて乗ったのだと、せめてその記憶だけでも持ち続けたいと思うものです。
(終)