今回は、大船渡線BRTで陸前矢作駅を訪問します。主として気仙沼~盛を結ぶ大船渡線BRTですが、陸前高田から分岐して陸前矢作へ行くBRTもあり、それに乗車しました。
もう列車が来ない駅となってしまっていますが、ホームなどはかつての状態のまま一部残っているところが見どころです。
ところでBRTって何なのよ?
バス・ラピッド・トランジットの略だよ。かつての線路敷の一部がバス専用道として使われているんだって
気仙沼駅から陸前矢作駅へのアクセス
今回は気仙沼駅から出発です。大船渡線は一ノ関から気仙沼までは列車が走っていますが、気仙沼から盛までの区間がBRTとなります。
気仙沼から陸前矢作へ行くには、まずは盛方面のBRTに乗車します。そして、途中の陸前高田で乗り継ぎとなります。
気仙沼から出発するとしばらくバス専用道を通り、鹿折唐桑からは国道45号線を通って海沿いの道を進んでいきます。
バスの窓から海が見えるよ!
広田湾の景色がきれい!
しばらく進むと、あの有名な「奇跡の一本松」も見えてきます。BRTの停留所にもなっていますが、バスに乗ったままでもちゃんと見えます。
陸前高田で乗り継ぎ
陸前高田駅で下車して、陸前矢作行きのバスへと乗り継ぎます。この日はあらかじめ気仙沼駅の券売機で陸前矢作駅までの乗車券を購入しておきました*1。
乗車券を持たずに乗り継ぐ際は、先に乗ったバスを降りるときに乗り継ぐことを申し出て、目的地までの運賃を先払いして精算証明書をもらい、後に乗るバスの降車時に精算証明書を運賃箱に投入します。
陸前高田はBRTの駅といっても、このような立派な駅舎が建てられています。かつてのJR陸前高田駅の駅舎を模したものらしいです。
駅舎の中はきれいで、みどりの窓口も設置されています。モニターを見るとバスがどこまで接近しているか知らせてくれます。
陸前矢作行きのバスがやってきました。このバスは盛が始発になっています。これに乗り継いで、終点の陸前矢作まで向かいます。
バスにリスさんがたくさん!
BRTのキャラの「おっぽくん」だよ
陸前矢作駅を探訪します
先ほどのBRTを終点まで乗車して、陸前矢作駅へやってきました。途中のバス専用道はかなり長く、ここ数年で延伸されたようです。BRTの停車場は、かつてのJR陸前矢作駅のすぐ隣にあります。
陸前矢作はBRTの行き止まりの駅となっていて、広いロータリーのようになっています。先ほどまで乗ってきたバスは、ここで折り返して盛行きになります。
かつての駅のホームが一部残されています
BRTの停車場の脇からアスファルト舗装された道が伸びているので、これをたどっていきます。
あっちに鉄道駅のホームがあったんだって
よーし行ってみよー!
まっすぐな道を歩いていくと、右側にはフェンスに「陸前矢作」と駅名が書かれているのが見えてきます。左側には駅名標が建っているのも見えます。
歩いているこの道は、かつては列車の線路が敷かれていた場所です。こうして、駅のホームの名残を現在も見ることができます。
駅名標はなんだか年季が入って見えますね。支柱は錆びて傾いており、草が絡まっています。
何年か前はここを列車が走っていたんだね
なんだか寂しい感じがするね
反対側のホームの駅名標は、成長した木に呑み込まれんとしています。駅の遺構は朽ち果てる一方でも、自然は生き続けるというコントラストを見せつけられているようです。
柵の向こう側には、まだ線路が残っています。この先は、上鹿折方面に向けて山越えの区間となります。
駅の待合室に入ることもできます
かつてのホームを端まで行くと、駅の待合室がぽつんと建っています。これは震災前からもののようです。
地元の方のために使われているみたいだよ
交流の場になっているんだね
待合室の建物は開放されていて、中は出入りができるようになっています。ちなみにBRTの停車場の近くにも、別に待合室があります。
これでひと通り駅を見てまわったので、陸前矢作駅の探訪は終了です。
かつての鉄道駅、これからのBRT
2020年4月1日付で大船渡線の気仙沼~盛は鉄道事業が廃止され、陸前矢作は鉄道としては廃駅となりました。鉄路復旧はなくなったわけですが、列車が走っていた当時の駅名標などが残されており、かつての名残を見ることができました。
現在の大船渡線BRTのルートは、かつての鉄道の路線と異なり、長部を経由する海沿いのルートとなっており、陸前矢作は陸前高田から分岐する支線のような位置づけとなっています。上鹿折~陸前矢作間は山越えのルートであり利用者がほとんど見込まれないところ、海沿いのルートは需要に応じた合理的なものと思われます。鉄道と比較して柔軟性をもった設計が可能な点がBRTのメリットであり、これからますます利用者にとって便利な移動手段として活躍するのではないでしょうか。
▼隣駅であった上鹿折駅の訪問については、こちらを参照ください
*1:このときの旅程は、東京から夜行バスに乗車して気仙沼にたどり着いたというものでしたので、気仙沼からの乗車券を購入しております。